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西武の新型特急Laviewに試乗

3月16日デビュー「いままでに見たことのない新しい車両」

■鉄道ファンには嬉しい構造

東久留米付近で黒目川を渡る

 西武球場前から延びてきた単線の西武狭山線と合流すると西所沢を通過。それを潮にちょっと立ちあがって最後尾の1号車をのぞいてみた。ロマンスカーのような展望室はないので、見晴らしはよくないけれど、運転台の脇から線路が流れ去っていくのが見えた。カーブしながら築堤を駆けあがるとき、遠く横浜方面からやってきた東急の電車とすれ違う。東京メトロ副都心線を介して直通運転を行うようになって以来、西武池袋線を走る車両のバラエティが驚異的に増えた。やがて、西武新宿線の複線の線路をまたぐと所沢到着である。
 2号車の席に戻る。所沢を発車すると、左側には西武新宿線の本川越方面へ向かう電車が見える。しばらく並んで進み、ラビューは右へ曲がって新宿線と別れる。右手には池袋線の複線の線路とは別に単線の線路が並んでいる。これは、JR武蔵野線との連絡線だ。ラビューは、山口県下松市にある日立製作所で誕生後、JR線を使って延々と回送され、武蔵野線からこの線路を経由して西武鉄道へと運ばれてきたのである。
 武蔵野線への連絡線が右へと消えていくあたりで埼玉県から東京都へと入る。その武蔵野線を跨いで秋津を通過、都心へ向かって快走を続ける。住宅や畑、雑木林と武蔵野らしい郊外の風景の中を進み、時折小川を渡る。何回も通ったことのある路線なのだが、格段に大きな窓から眺める車窓は新鮮だ。日常的な西武線を見慣れない銀色の車両が現われたのに気づいた沿線の人が慌ててスマホを取り出して撮影を試みている。上手く撮れたのだろうか?
 清瀬、東久留米、ひばりヶ丘と通過し、保谷駅の手前の車両基地では、線路脇に保存されている小型の蒸気機関車と電気機関車が目に留まった。西武の大先輩にあたる車両たちはラビューをどんな気持ちで出迎えているのだろうか?

複々線区間の前面展望

 大泉学園駅を過ぎると高架線に駆け上がり、石神井公園駅からは複々線の線路の一番北側を快走する。右隣を進む各駅停車の電車をあっさりと追い抜く。先頭車両の運転台後部にやってきて前面展望を楽しむ。といっても展望車両ではないので、広々としたパノラマを味わえるわけではない。とは言え、ニューレッドアローの先頭車は、運転台のすぐ後ろはデッキだったので座席から前面展望は一切楽しめなかっただけに、ガラス越しに僅かとは言え前面展望のチャンスがあるラビューは鉄道ファンや子どもたちにとっては嬉しい構造である。

こんな乗客も!西武ライオンズのレオ

 再び2号車に戻ると、電車はいつしか地上を走る複線区間に戻り、江古田付近を走っていた。椎名町を通過し、JR山手線を跨ぎながら大きく左へカーブすると、ゆっくりと池袋駅のホームへ滑り込んでいった。
 40分程のミニトリップは、快適で大変充実したものだった。とは言え、都市近郊の車窓ばかりだったのは残念だった。3月16日のデビュー後は、飯能から西武秩父へ到る山岳風景を大きな窓から堪能したいと思う。

 余談だが、Laviewの自動アナウンスは、レストラン電車「52席の至福」に続いて女子鉄アナウンサーの久野知美さんが担当することになった。こちらも楽しみである。

池袋に到着

 取材協力=西武鉄道、ホリプロ